夜のセミレンジャーに備えて、というわけでもないですが、
昼間にココアを飲もうとして、
レンジで温めたらココアが爆発しました。
幸先いいですね。
出発
夜。
人が眠りにつき、町が静まり返る頃、
セミレンジャーは密かに動き出すのです。
嘘です。
言うほど遅くないです。
多分この日は20時半くらいに出発したと思います。
夜の川。
昼間はあんなにキラキラしている川も、
夜はこうですよ。
今にも、首長竜の一匹も出てきそうな雰囲気です。
現場到着
公園に着くなり、アリに襲われてる幼虫さんを発見!
救助せよー!
ただ、経験上、地面に落ちてアリにやられている個体は、
手遅れな場合が多いです。
もう弱っていて、掴まる力がなかったりして、
どうにもならないんですよね。
悲しいことに、こいつもそうでした。
なんとか木に掴まらせようとするも、
爪が引っかからないのか、自重を支える力がないのか、
コロンと落ちてしまいます。
なんとかならんものかと、
ひっくり返った身体を戻してやるのですが
すぐにひっくり返ってしまってどうにもなりませんでした。
私「こいつはもう無理だ」
と、要救助者の前で決して口に出してはいけない言葉を吐き、
私たちはその場を後にするのでした。
救えない命もあるのです。
ただ、ああいう、自力で掴まれない個体を助けるための
道具はなにか作れないものかと考えたりもします。
木の棒と糸で、簡単に作れそうな気もしますけどね。
公園内に入ると、例の羽化スポットの木の近く、
葉っぱの裏で羽化しているセミさんを発見。
綺麗ですなぁ。
なんか、頬紅を塗ってるみたいに、
目の下が少し赤くなっててかわいいです。
別の葉の下でもこの通り。
羽化し放題ですよ。
ちょっとアップ。
こんな葉っぱの表面に、しっかり掴まれるのがすごい。
逆に言うと、これくらいグリップ力がある元気な個体こそが
立派に羽化できるということなのでしょうか。
歩を進めていると、歩道の上をのそのそと歩く
幼虫さんを発見。
レスキューせよ!
近場の木に移しました。
幼虫を見つけては、次々とレスキューする嫁隊員。
嫁隊員は、幼虫さんを体中に這わせることに
無上の喜びを感じる特殊な人なのです。
嘘です。
こいつも木に移します。
上図のような角度になると、木に移動させるのは
ちょっとむずかしいです。
セミの幼虫は、多くの場合、上へ上へと移動しようとするので、
指先が上になるようにして、こういう角度になると上手くいきます。
でも、必ずしも上に行かないところが、
幼虫さんの扱いの難しさでもあります。
うむ。こいつもなかなかの大物です。
達者でな。
っていうかもう、めっちゃ幼虫居る。
グリップが弱そうなやつを拾ったので、
少し平らなところに置いて様子を見ます。
大丈夫かなぁ。
でももう、大丈夫じゃなくてもどうしようもない。
さらにレスキュー。
こいつは元気に登っていきます。
終わりの見えない救助作業に、我らセミレンジャーにも
疲労の色が見え始めたそのとき、
横の湖(池)面に不思議なものが。
私「んんー? あれはなんだ?」
嫁「カモさん」
私「水面の上に立ってるじゃないの」
こうして写真で見ると、足元になにかがあるように見えますね。
肉眼だと、本当に水面に立ってるみたいで、
ちょっと不思議な光景でした。
さて、また公園北側での救助をします。
こちらには、手頃な木があまりないので、
道端に生えている頑丈そうな草に幼虫を掴まらせます。
やや茶色が濃い幼虫さん。鳥ももの照り焼きみたいな色してます。
こんな細い葉で大丈夫だろうかと不安になります。
頑張っていいポジションを探す幼虫さん。
ここで落ち着いた様子。
無事に羽化できますように。
そうこうしていると、また要救助セミを発見。
とにかく居ます。
セミレンジャー史上、こんなにたくさんの幼虫を
レスキュー(できてるのか知りませんが)したのは
初めてだと思います。
近くによさそうな木があったのでそちらへ。
2匹救助。
1周し、先ほど羽化途中だったセミさんたちの
その後を観察。
葉っぱの表面に掴まっていたセミさん。
綺麗に翅が伸びました。
葉っぱ裏のセミさん。こちらも順調な様子。
あらたにレスキュー。
先ほど、私たちが、とある木に避難させた幼虫さんが、
その後どうなったのかを確認しようと、
あちこち探すも、見つかりません。
嫁が木の上のほうを照らして、
嫁「居た」
上の枝に居ました。
ただ、これが本当に私たちがレスキューしたのと
同じ個体なのかはよく分かりません。
なぜなら、この木の上方をよく見てみると、
セミの幼虫が複数居て、もうどれがどれやらって感じだからです。
その中の一匹を見て
私「あ、あれ羽化中じゃない? でもなんか黒いな」
そう。
これは、羽化の途中をアリに襲われた悲劇のパターンです。
遠いし暗いしで写真の写りがいまいちなのは
ご了承ください。
こういうのを見ると、これが私たちの
レスキューしたやつじゃないかと思ってしまいます。
過去の経験上、私たちがレスキューした個体は
ろくな結末を迎えないことを知っているので。
その木から伸びた枝、その枝から生えた葉っぱで
羽化中のセミさんを発見。
本当に、頭上20センチくらいのところで羽化していて、
大変見やすい位置でした。
透明な翅が綺麗ですなぁ。
私たち夫婦が、アホ面してこのセミさんに見とれていると、
近くを通りかかったご夫婦も興味を惹かれたのか
こちらにやってきまして、
ちょっとだけ一緒に観察してました。
夫「セミの羽化だよ」
奥「あ、そういうことか」
という、謎の会話を残し、そのご夫婦は去っていきました。
そういうことかというのは、どういうことだったのか、
気になります。
帰り道。
行きとは違う道から帰ってますと、
なぜかスイカの皮が落ちてまして、
無数の虫が群がっておりました。
せっかくだから俺は写真に撮るぜ!
ほとんどダンゴムシですね。
本日、最初に見つけた、アリに襲われていた幼虫さんが
その後どうなったか。
帰り際に、現場に立ち寄ってみたところ、
やはり駄目でした。
まだ生きていて、目にも輝きがあるだけに、
これを救えないのはちょっと寂しいです。
そんな余韻を残し、今日のセミレンジャーは終了です。
おまけ
帰って来ると、我が家の木から
少し力ない感じで、ジジジジと音がしてました。
我が家のシンボルツリーに、またアブラゼミさんがとまり、
私たちを労うかのように、優しく鳴いていたのでした。
こうして、私たちは勝手にセミとの絆を感じ、
今後のレンジャー活動もせざるを得ない精神状態になるのです。
なんてことを思ってましたら、
嫁「あ、ネコさん」
我が家の玄関ドアのすぐ近く、
手すりのようになっている部分でおくつろぎの様子。
よくここにネコの足跡があるので
嫁「ここにネコさん上ってるんだね」
とか
嫁「ネコさんの通り道になってるんだね」
なんてことを言っていたのですが、
通り道どころか休憩場所になってるじゃないの。
こちらも、なるべく驚かさないように、
遠くからの撮影。
私「あんなところにいられたら、家に入れないじゃないの」
と、ネコさんに遠慮して我が家にすら入れない私たち。
しかし、ほどなくして、ネコさんが
私たちの気配を嫌ってか、立ち去ってくれたので、
無事に帰宅することができました。
最後の最後で、セミさんとネコさんに出迎えられた、
ちょっと変わった日でした。