よれよれ将軍のよれよれ日記

日常のことをよれよれと書く日記です。

自作自演のエキスパート

ネット上でよく見かける

自作自演」という言葉を

最近はニュースなどでも

ちらほら聞くようになりました。

一人の人間が複数人を演じて、

マッチポンプのような行動を取ることに

対して使われることが多いと思います。

ニュースで使われる場合には、

強盗事件が起きたと思ったら

実は被害者が金を盗んだだけだったというような

狂言犯罪の際に使われる場合が多いです。

で、3年くらい前の話だと思いますが、

私は一枚のCDを買いました。

フリッツ・クライスラーのCDです。

クライスラーってのは、

ヴァイオリニストであり作曲家でもある人で、

ヴァイオリンやってる人なら

まず知ってるという大御所です。

そんなクライスラーのCDですが、

CDのタイトルは

クライスラー 自作自演集

自作自演……ネットでの使われ方がすっかり

浸透してしまっているせいで、

タイトルがろくな響きじゃありません。

かのクライスラーが一体どんな自作自演っぷりを

見せてくれるのかと期待してしまいますが、

お察しの通り、この場合の自作自演とは

自分で作曲した曲を自分で演奏する」という意味です。

そもそも、自作自演の正確な意味は?

と思い辞書で調べてみますと

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自作自演

(1)脚本を書いた人や作曲した人が、

  その作品に役者としても出演したり、

  その曲を自分で演奏したりすること。

(2)準備から実行までのいっさいを自分でやること。

(エキサイト辞書より)

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とあります。

CDのタイトルで使われているのは、

明らかに(1)の意味でですね。

では、ネットやニュースで使われる際は

(2)の意味で使われているのかというと

少し違う気がします。

自分でシナリオを作って

それに応じて自分が何役もこなすという意味では

どちらかというと(1)の意味の方が近い気もしますが

果たして言葉の使い方として正しいのかどうかは

よく分からないところですね。

また、(2)の意味を用いるのであれば

単独犯の犯罪はまず間違いなく自作自演である

言えるような気もします。

自分で計画して実行してしまった

コンビニ強盗も自作自演です。

ということは、世の中の犯罪は自作自演だらけ

ということになるんですが、

本当にこれで使い方あってるんですかね(笑)

日本語って難しいです。

ちなみに、クライスラー

ネットで使われている意味での

自作自演を行った人物としても有名です。

クライスラーはある時、

「昔の作曲家が書いた

 古い楽譜を見つけたよ。」

と言って、それをヴァイオリン用に編曲して

世に発表したものの、

後になって

「楽譜なんて見つけてません。

 実は全部自分の曲です。

と白状してしまい、正に今で言う自作自演です。

これを行った理由として

「ヴァイオリンの演奏曲目の作曲者欄に

 自分の名前ばかりが並ぶのもどうかと思って。」

みたいなことを言ってた気がします。

当時のヴァイオリニストが、

そんなにクライスラーの曲ばっかり弾いていたのか

私には正直分かりませんが、

クライスラーは本当に変わった人ですね。

さらにクライスラーの変わってるところと言えば、

彼は、人前で弾く予定がある曲を練習しなかったそうです。

「事前に練習してたら、

 本番弾く前に飽きちゃうじゃん。

 本番で、その曲に新鮮味を感じながら、

 楽しみながらじゃないと弾けないよ。」

みたいな格好良いこと言ってた気がします。

これは練習しなくても弾ける天才だからこそ

言える台詞であるという気もしますが、

同時に、非常に芸術家らしい発言であると強く思うのです。

芸術とは、技巧の競い合いでは無いという

意思が感じられるのです。

非常に茶目っ気があり、

大らかで、

自作自演のエキスパート、

それでいてしっかりと芸術家である

クライスラーはすげえなあ

改めて思うのです。

ちなみに、クライスラーに関する記述は

曖昧な記憶を元に書いてるので、

気になる方はちゃんとご自分で調べてみてください。

嘘書いてあるかも知れませんので、

これで納得しちゃ駄目ですよ。