前回の記事を引っ張り、今回の記事は漫玉日記風の文体で書いてみます。
予想外に晴れた
朝、いつものように11時の開店に合わせて銚子丸に行く。
私と言えばスシローとお思いの読者も多いだろうが、
最近は調子づいて銚子丸に行っている。
スシローの値上げが意外と馬鹿にならないというか、
銚子丸で少しセーブして食べるとほとんど同じくらいの値段で済むので、
最近は銚子丸でいわしばっかり食べているのである。
大変に脂が乗っていて旨く、しかも安いいわし。
12時頃に帰宅。
当初の天気予報では、今日はあまり天気がよくないとのことだったが、
窓からは日が差し込み、存外に天気がよい。
こんな日に散歩に行ったら気持ちよかろうとの思いから、つい
私「天気もよいし、散歩にでも行ってみるか光合成~」
などと嫁に言うと、嫁もすっかりその気になり
嫁「よしわかった。何時頃に出かけるのだ。
13時~14時の間か?」
などと詰め寄ってくるので、
私「13時前かもわからんぞラプラスの悪魔~」
と咄嗟に答えたりした。
そうは言ったものの、私はまだ悩んでいた。
散歩に行くと、とにかく1日の時間がなくなるからである。
現在すでに12時半近い。
今日もおそらくは、17~19時にかけて筋トレをすることを考えると
16時には帰ってきて、プロテインとあんこを摂取しておきたい。
さらに家の掃除も……などと考えだすと、
呑気に散歩に行って帰ってきたら、
もうほぼ余暇はなくなってしまうのである。
やらなければいけないことに対して、1日の活動時間のなんと短いことか。
なにか根本的な生活設計が誤っているのではないかと
薄ら嫌な気持ちになり、散歩に出るかどうか悩み煩悶した。
しかし、やはりこのような天気のよい日に外に出ること
大変に気持ちよく、もはやこの歳になってくると
日の光に喜びを見出すことくらいしか、
人生の楽しみはなかろうと思い、13時過ぎに散歩に出ることにした。
実り
玄関を出てすぐのところで、嫁が庭木のほうを指差し
嫁「あれ見てー!」
と少しおかしなテンションで言うので
視線をそちらにやったが、なにも見えない。
私「ん~? どこになにがあるというのか魚群探知機~?」
などと言っていると
嫁「カマさんの卵!」
よくよく見てみると、たしかにあった。
その場でスマホで調べだし
嫁「これは多分オオカマキリの卵だね!」
と興奮気味。
私もにわかに高揚し、反対側に回って写真を撮ってみた。
これはたしかにオオカマキリの卵っぽい。
私「この枝ごと切り取って家に持ち帰って
じっくり孵化の瞬間を見るかピューリッツァー賞~」
嫁「いいね」
私「でも、実際孵化したら、大量の赤ちゃんカマキリが
家中に散らばってちょっとした惨事になる小虫天国~」
ということで、やはり外でこのまま孵ってもらうこととした。
そのまま、ほかにも卵がないかを探し出したりして
おそらく5分くらいは玄関まわりでうろうろする私たち。
私「こんなことしてるから、
散歩に時間がかかるんだアイザック・アシモフ~」
ということで、卵探しを切り上げ、
いつもの散歩コースへと歩み始めた。
家から20メートルくらい歩いたところで
嫁「あ、腕時計を忘れた」
と言い出し、
私「まあ、べつにいいのではないか枝葉末節~」
と言ったものの、1日のスケジュールを考える上で、
時間を気にすることは大切だと思い直した私は、
右手を振り下ろしながら
私「時間をなめるなー! エントロピー増大の法則~!」
などと嫁を戒めていたら、すぐそこの曲がり角から出てきた二人組が
私のことを訝しげに見てきて、私は薄ら恥ずかしい気持ちとなり
結局時計を取りに戻ることもなく、そのまま散歩を続けることとした。
先程の二人組が見えなくなったところで、
私「時間をなめるなー! 光陰矢の如し~」
と再び右手を振り下ろしながら嫁を戒め、
少し気分を取り繕った。
川近くまで来ると、桜が若干開花し始めており、
青空と桜のコラボレーションが美しく、
私「ああ、やっぱり散歩をしてよかった自己正当化バイアス~」
と唸った。
嫁「こういう木の幹から直接出てる花が、毎年あるよね」
私は咄嗟に写真を撮り
私「こういう花は、一体どういう事情で
ここから生えてくるのだチェリーボーイ~?」
と疑問を口にしたりした。
いつもの場所にさしかかり
私「さて、今日は居るかな量子力学~」
と言いながら、川を覗き込むと
私「居たー! 川の宝石フライングサファイア~!」
久しぶりにカワセミさんを見た。
カワセミさんはずっと居たのかもしれないが、
なんせ私がここに来るのが久しぶりなのだ。
相変わらず綺麗な色をしていたが、
嫁が横でパシャパシャと写真を撮っていると、
カワセミさんは颯爽と飛び去っていった。
嫁「ああ、ごめ~ん」
私「お前が飛ばしたのかびっくり入道~!」
嫁「多分私のせい」
私「まったく鳥迷惑なやつだ取締強化月間~」
などと言いながら歩を進めると、
川の中に白鷺が居た。
この白鷺はだいぶ乱暴者で、
近くに居た鴨にちょっかいを出し、
少し離れていく鴨にわざわざ近づいていって
追い立てたりしており、まるで我が家でよつばが
他の猫にちょっかいを出しているようで、
薄ら嫌な気分になってきて
私「まったく、やっぱり白鷺はろくでもないな純白のジャイアン~」
と憤慨した。
公園に向かう途中、とある分かれ道にて、
去年の夏は毎晩のようにここで
ゴキブリの交尾を目撃したことを思い出し
私「ここは、ゴキブリたちが愛を語り合う想い出交差点~」
嫁「花園だね」
私「ああして、次世代が誕生してゆくのだなぁ遺伝子の船~」
と、想像したくもないゴキブリの世代交代に思いを馳せた。
公園に着いてからは、木の表面を舐めるように見て、
カマキリの卵や虫を探したが、とくになにも見つからず。
特に、季節的にはまだ若干春前ということで、
虫たちもあまり姿を見せておらず、寂しい限りであった。
公園のメインルートは、やたら人がたくさん居て
さすが天気のよい日曜でといった風情だった。
しかしこうも人が多いと、爽やかが半減するような思いになり
私「平日に自由に散歩できる生活がしたい
自由業への憧れ~」
と己のサラリーマン生活を悲嘆した。
私にとっては大変久しぶりの光景であるのだが、
実は嫁にとっては数日ぶりくらいであった。
嫁は、身体の調子を整えるために頻繁にウォーキングをしており、
いつもの散歩コースを一人で、仕事が終わった後などに
歩いているのだった。
ある夜、嫁が公園の周辺を歩いていると
斜め後方から妙な音とともに「嫌な感じ」がしたらしく、
こういうときは振り返って見ないほうがよいと判断し、
無視して振り切ったという。
その嫌な感じの発生源は、とある家の
庭木の上のほうだったそうで
そこになにがあるわけでもないのだが、
嫁はたまにこういうことを言うのだ。
二人で公園周辺を歩いていき、
私「そろそろ、例の嫌な感じがした場所かシックスセンス~?」
嫁「あの辺だね。あの木のちょっと奥のほう
今は別になにも感じないけど」
とのことで、嫁の思い過ごしなのか、
その夜はなにかが居たのか、
不思議な気分で通り過ぎた。
今日は、公園を軽く半周みたいなところで帰ることにする。
私にとっては久しぶりの散歩なので、
長時間歩くと絶対にろくなことにならない自信があったためである。
実際、家まであと15分くらいという場所に来て、
両足の付け根は痛くなり、左足の甲にも鈍痛が出るようになった。
私「足痛い~。公園一周してたら
えらいことになってた骨格ロック~」
と弱音を吐き、散歩はもう少し近場を
回るだけで十分な気がした。
家に着くと、もう14時半くらいになっており、
案の定散歩に1時間以上を費やしてしまっていた。
この後の、家事、筋トレ、食事のことを考えると
もう実質的な余暇は残っておらず
私「もう時間がない自由の断末魔~」
と嫁にクレームをし
嫁「でも、お散歩気持ちよかったでしょ」
私「うむ。してよかった思考のローリングストーン~」
と気持ちを二転三転させ、ハッピーエンドとした日曜日であった。
なんだかんだで天気のよい日に外を歩くのは気持ちよくて、
またちょこちょこ散歩しようと思いました。