よれよれ将軍のよれよれ日記

日常のことをよれよれと書く日記です。

ギトリス!チャイコン!

今日は待ちに待ったギトリス翁の公演日です。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。

前から3列目です。

気合い入れて行きましょう。

ああ、今年で87際になるギトリス翁。

どんな演奏を聴かせてくれるのか。

もうわくわくですよ。

もちろん会社は有休です。

上野の東京文化会館に向かいます。

上野は我が家からすぐです。

そうそう、私が勢い余って取ってしまった

余剰チケットはヴァイオリンの先生に

お譲りしたというか、買い取って頂きました。

ふぅ、助かった助かった。

会場の入り口で、いつものように

音楽関係のチラシを

たっぷり受け取りました。

いつも思うんですが、

コンサート会場の入り口で配られる

チラシの量はちょっと異常じゃないですか。

ものすげえ厚さですよあれ。

1センチ以上あるんじゃないですかね。

そりゃ森林伐採も進むわぁと思いました。

先生はまだいらしてないかな、と

きょろきょろしてたんですが、

そんな私より先に家人が先生を見つけました。

先生の軽く挨拶をして、すぐに別れました。

携帯をかけながらどなたかを

探している様子でしたが

無事会えたのかしらん。

入場してすぐのところで

今日のパンフレット(プログラム?)を

販売してましたが、

が!!

私達のプレミアチケットは

なんとパンフレットをただで貰えます。

いぇーい。やりぃ。

まあ、パンフレット代より高い金が

チケット代に上乗せされてるので

得でもなんでもないんですが。

早速席に向かいます。

チケットに3列と書いてあるだけあって

前から3列目でした。

近い。舞台が近いです。

第一バイオリンの真ん前です。

ただ、ギトリス翁は演奏時に

指揮者側を向く傾向があるので、

私達の席からだとずっと背中しか

見えないかなという懸念はありました。

とりあえず、演奏一発目は

チャイコフスキーの弦楽セレナーデです。

前も書きましたが、

オー人事のCMのせいで

すっかり曲のイメージが汚染されてしまった曲です。

これが…何か…、

音は綺麗で演奏も上手いんだと思いますが、

何かグッと来ないんです。

何て言うか、音に臨場感が無いというか

迫力が無いというか、

間違いなく眼前での演奏を

生で聴いているのに

現実味が無い音でした。

そう思ったのは自分だけかなと思い、

コンサート後に家人も同じことを

言ってました。

後で先生に聞いてみたところ、

先生の席では良い音で聞こえてたようで、

どうやら私達が座った席は

音が良くなかったみたいです。

殊、クラッシックのコンサートに関しては

前の席を取れば良いってもんじゃないんですね。

でも、今回はギトリス翁を近くで

見たかったので仕方なかったんです。

でまあ、とりあえず弦楽セレナーデの

第一楽章が終わりました。

第一楽章が終わった時に

拍手が起きたのにびっくりしました。

複数の楽章で構成されている曲の場合、

楽章間では拍手せず、全楽章を演奏し終わってから

拍手をするのが普通です。

とか思ってたら、今日は

一楽章しか演奏しないんでした。

プログラムにそう書いてありました。てへ。

楽団員が舞台袖にはけて、

係の人(何て言んだろうこういう人)が

次の演奏の準備のため、

チェリストの椅子の位置や

譜面台の位置を調整します。

次は早くもギトリス翁がソリストを務める

ヴァイオリン協奏曲です。

否が応にも期待が高まります。

楽団員、指揮者と入場してきます。

しかし、ギトリス翁が

なかなか入場してきません。

どうしたのかなと思ってると、

舞台袖の方から

協奏曲の出だしのフレーズが聞こえてきました。

ギリギリまで練習してました。

そしてついに登場。

今まで寝てたかのような

いでたちで登場です。

髪はぼさぼさで、

服もよれよれの作務衣のよう。

よれよれというか、しわだらけと言った方が

良いかも知れません。

私もあの服欲しいです。

次の発表会では是非しわだらけの

あの服で出たい。

我が家でも、床の上に脱ぎっぱなしにしてある

私のシャツとかそんな感じになってますが、

それとはやはり趣が違います。

ギトリス翁のヴァイオリンには

予め弱音器が装着されていたっぽいのですが、

何か気に食わなかったのか

弱音器を楽器から外して

「ちょっとこれ持ってて」という感じで

指揮者に渡して

笑いを取ってました。

さあ、演奏が始まります。

出だしのストリングスが鳴り、

管楽器も混ざってきて、

いよいよギトリス翁のヴァイオリンが火を噴きます。

いや、比喩ですよ。

この出だしのフレーズがもう

やばかったです。

弾かないはずの弦は鳴っちゃうし、

音は外れるしで、

聴いててすげえハラハラしました。

かなり話がそれますが、昔2ch

【お前らの好きなヴァイオリニストあげてけ】

みたいなスレッドが有って、

そこである人が

シゲティ

 テクニックの無さが比類無き緊張感を生み出す」

と書いてあって爆笑したのを思い出しました。

シゲティに実際テクニックが無いのかどうかは

知りませんが、そんな理由で好きになるなよ、と。

でも、ギトリス翁の場合は

決してテクニックが無いわけではないと思います。

むしろすげえ上手いと思いますよこの人。

表現の仕方や弾き方で好みがはっきり分かれますけど、

テクニックは凄いと個人的には思ってます。

一昨年の公演でも思ったんですが、

ギトリス翁って、最初硬いんですよね(笑

私なんかが言うのもアレですが、

前半は間違いなく硬いです。

80年のキャリアを持つベテランでも

やっぱり緊張するんでしょうか。

後半になってノリノリになってからは

明らかに音が違う気がします。

大分話が逸れましたが、

そんな感じでハラハラして

あまり演奏に集中できない

第一楽章でした。

ギトリス翁の音は独特過ぎて、

オーケストラの音に埋もれません。

ギトリス翁の音だけが別の次元にあるように

はっきりと聞こえます。

そして当初の懸念通り、

ギトリス翁は終始指揮者側を向いて、

時には完璧に客席に背を向けて

演奏しており、

あまりクリアな音は

こちらに聞こえてきませんでした。

ちなみに、指揮者の横には

疲れたギトリス翁が休むための

椅子が用意されてました。

ソリストが休みの間、

それに座るのかなと思ったのですが

座るのではなく

やれやれという感じで

寄り掛かって休んでました。

出だしはハラハラしましたが、

やっぱり何だかんだで上手かったです。

今まで聴いたチャイコンとは

ふた味くらい違う演奏でした。

とか書いてますが、正直な話、

演奏のことはよく覚えてないんです。

右脳が腐ってるせいか分かりませんが、

私は「演奏を覚える」という行為が

著しく苦手です。

ちなみに家人は結構それが得意で、

私がクラッシックのCDかけてると

家「あ、この演奏は聴いたことあるな。」

とか言ってきたり、

新しく買ったCDをかけてると

家「聴いたことない演奏だな。」

とか言ってきて私をびびらせます。

私は何回も聴き込まないと

全然記憶出来ません。

というわけで、演奏に関して

あまり多くは語りません。

っていうか、語れません(笑

協奏曲を弾き終わった時、

ギトリス翁の弓の毛が一本切れて

ひらひらしてました。

ああ、やっぱり激しい演奏で弓の毛が

切れるんだなぁとかしょうもないことを

思いました。

で、以前どっかのサイトで読んだのですが、

弓の毛が切れた場合は

切れた毛を根元からハサミで切るのが良いと。

引っ張って抜くと、毛のバランスが崩れて

すごいことになる場合があるので

絶対に切れた毛を引き抜いてはいけません。

みたいなことが書いてあった気がします。

が!

私は確かに見ました。

ギトリス翁が舞台に引き上げる途中で

切れた毛を手でむんずと掴んで

思いっきり引き抜いたのを。

おいおいおいおいおいと思いましたが、

もうギトリス翁くらいになってくると

何でもありですね。

あの自由っぷりが好きです。

そしてアンコールでは

チャイコンの二楽章を演奏。

その日に演奏した曲を

アンコールでもう一回弾くっていうのを

初めて見ました。

私は、ギトリス翁はさっきの

二楽章の演奏がよっぽど

気に入らなかったんだなぁと

思ってましたが、

家「弱音器有りVerと無しVerで

  聴き比べをして欲しかったんじゃないかな。」

と言ってました。

ほほー。そんな意図が有ったとは。

ちなみに、私くらいになってくると

一回目の演奏と二回目の演奏の差が

全く分かりませんでした。

もはや一回目の演奏を覚えてないですからね。

差が分かるはずも無し。

そんなこんなで、

演奏はさっぱり記憶出来ませんでしたが

色々と面白い公演でした。

舞台袖に引き上げながら

ヴァイオリン弾いちゃう辺りとか

ギトリス翁の公演は笑いが絶えません。

もうギトリス萌えです。

長生きして、来年も再来年も日本に来て欲しいです。