よれよれ将軍のよれよれ日記

日常のことをよれよれと書く日記です。

セミレンジャー2017

どうも、セミレンジャーの将軍です。

と言われても、何のことか分からないでしょう。

分かる人がいたらびっくりです。

セミレンジャーとは、7月くらいになると、

夜な夜な公園等に出かけて、

セミが羽化するのを見守ったり、

地面を這ってて、そのままだと人に踏まれてしまいそうな

セミの幼虫を木に引っ掛けたりして、

セミを愛で、セミを助け、

自己満足に浸る、

そんな選ばれし人間のことです。

日本中に、少数ながら同志が居ることは

確認できていますが、

各部隊が個別に活動しているため、

その存在はあまり知られていません。

今回は、そんなセミレンジャーの

2017年の活動の一端をご紹介したいと思います。

ここまで言ってるんですから、

この記事にはセミの写真がてんこ盛りであることを

覚悟しておいてください。

この後に掲載される写真でショックを受けたとしても、

それは自業自得というものです。

皆さんいい大人なんですから。

セミレンジャーの活動は、

長時間に及ぶ可能性があるため、

私のように、社会人もやりながらの

二足のわらじレンジャーの場合は、

休日前夜に行うのが無難です。

私の活動場所は、主に近所の公園です。

その公園は、我が家から

徒歩で45分ほどのところにあります。

こうなってくると、

この公園を"近所の公園"と呼んで良いのかは

議論の余地があるところですが、

他に活動できる公園が無いのです。

この東京砂漠。

蒸し暑い夜、

夜のウォーキングも兼ねて、

徒歩で公園を目指します。

助手1名をともにして。

公園に到着しました。

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移動だけで軽くバテます。

が、セミの大合唱が迎えてくれるので

テンションがあがります。

っていうか、セミって夜にこんな鳴くんだっけか。

軽く調べたところ、

セミは、本来は夜鳴かないそうです。

温度や光で昼夜を判断してるそうで、

夜も暑かったり、街灯が煌々としてたりで、

もう常昼状態なんですな。

体内時計がバグっちゃってるんですな。

セミだけに。ってね。

さあ、公園内を徘徊していると、

早速見つけました!

舗道をのそのそと動き回る、

怪しい茶光り。

一瞬ゴキかと毎回思うんですが、

ちゃんとセミでした。

羽化場所を探しているらしい、

セミの幼虫です。

ここの公園は、夜になると

ランナー達が舗道を暴走するので、

セミの幼虫にとって

舗道の上は大変危険な場所なのです。

そうに決まっています。

救助せよ!!

さっそく、救助して木の幹にかけます。

が、大分弱っているようで、

すぐにポトッと落ちてしまいます。

よく見ると、背中に傷がついていました。

外敵にやられたのか、

もしくは、木の高所で羽化しようとしていた最中に

落下してしまったんだと思われます。

木に引っかかる力すら残ってないようで、

こいつはもう虫の息ってやつです。

それでも、せめてもの情けということで、

少し傾斜がなだらかな樹皮のところに

避難させておきます。

201707_semiranger01.jpg

私達にできるのはこれくらいしかないのです。

涙を拭って次の要救助セミを探します。

さらに進むと、また居ました。

舗道を這う茶色い存在。

救助せよ!

助手が身を挺して、幼虫をレスキューします。

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ナイスガッツだ!

セミが気持ち悪い」などと抜かす、

都会のもやしっ子どもは、ぜひこれを見習ってほしいです。

今回は、セミさんを近場の木の柵に案内することにします。

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無駄に

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色んな角度から

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よーし。ここで立派なセミになるんだぞ。

救助完了!

次行くぞ!

居ました。また舗道に要救助セミが。

今度は、近場に背の高い手頃な木があったので、

そちらへご案内。

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その幼虫は傷もなく、元気に上に登っていきます。

地上から6メートルくらいまで登ったところで、

動きを止めました。

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よーし、その辺なら羽化にうってつけだろう。

救助完了!

繰り返す、救助完了!

途中、なぜかヒキガエルが寄ってきて、

その背中の上に乗っていた虫を、

助手の靴に移してくるという

嫌がらせなのかなんなのか

よくわからないイベントに遭遇。

何だこれ。

満足気に去っていくヒキガエルさん。

201707_semiranger08.jpg

そんなこんなしてる内に、

レンジャー活動は2時間近くに及んでおり、

ここからまた45分くらいかけて歩いて帰らないと

いけないことを考えると、

ここら辺が引き際です。

彼、彼女らの羽化を祈りながら、

帰路に着きます。

帰り道の道中、線路沿いの石壁で、

羽化中のセミを発見。

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美しい。作り物みたいです。

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セクシーな横顔。

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愛くるしい顔。

乾燥が終わって飛び立つところまで

見届けたいところですが、

そんなことしてたら何時間かかるか

分からないので、

断腸の思いで家に帰ります。

家に着いたのが、

午前0時過ぎだったでしょうか。

助手「救助されたセミが無事羽化したか、

    明け方くらいに見に行ってみましょうよ」

私「お、それは良いアイデアだね。(え、マジで言ってんの)」

ということで、午前4時過ぎくらいに、

再度公園に出発します。

レンジャーの活動は過酷なのです。

公園に到着。

さて、あのセミ達はどうなったでしょうか。

まず、あの負傷セミを見に行きます。

いませんでした。

まあ、予想通りというかなんというか。

おそらく、自力で少し動いた際に、

また木から落ちてしまったんでしょう。

しかし、探してもその周辺に姿は見えず。

ヤツもきっと無事に羽化したと信じましょう。

信じるのは自由です。

死亡を確認しない限り、ヤツは生きているんです。

シュレディンガーの猫みたいなもんです。

木の柵に引っ掛けたあいつはどうなったかしら。

いない!

なんで!

場所が気に食わず移動したんでしょうか。

木の上方に登っていったあいつは大丈夫でしょう。

現場に行ってみると、

昨夜と同じ場所に居ました。

201707_semiranger12.jpg

でも、まだ羽化をしてない様子。

あれえ、これはどういうことだろう。

よく見ると、やけに黒いなアレ。

高所に居る上、やや暗いので、そんなにはっきり見えません。

携帯のライトで照らしたり、

色々やっている内に、何が起きてるのか、分かってしまいました。

信じたくない現実が見えてしまいました。

ヤツは、大量のアリに集られて、

果てていました。

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羽化の最中、これから成虫になるぞというタイミングで、

黒い絨毯の餌食になったのです。

厳しい。あまりに厳しい自然の掟。

ちょっと私の手が入ってるんですけど。

私が昨夜、別の木に、別の場所に避難させたなら、

あるいは私がヤツを見つけなければ、

もしかしたらヤツは生きていたのかも知れません。

私がセミレンジャーなどにならなければ!

などと改悛したところで、

アリさん達はウハウハなのです。

結構、あちこちの木の幹で

羽化してるセミを見かけてたんですが、

こういうケースもあるんですね。

ということは、セミ達は一斉に

近場の木に登り、

その内の何割かがアリに襲われ、

セミA「お前ら、俺がやられてる内に

    羽化しろ!」

セミB「え、一緒に空を飛ぼうって約束したじゃない!」

セミC「立ち止まるなB! あいつの死を無駄にするんじゃない。

    俺たちだけでも生きて……生きて……次の世代へ繋ぐんだ!」

なんていう熱いドラマが繰り広げられてるわけですよ。

みなさんも、セミの音(ね)を聴くときに、

その一匹一匹に熱いドラマがあることを

妄想してみてください。

ただでさえ暑いこの夏にね!

というわけで、

結局1匹たりとも救えてないセミレンジャーなんですが、

まだまだ活動は続きます。

今年もやります。

たとえセミの迷惑になろうとも。