よれよれ将軍のよれよれ日記

日常のことをよれよれと書く日記です。

セミレンジャー2018

さあ、今年もセミレンジャーの季節がやってまいりました。

やっぱり夏なんでね。

外が暑くなってきたらセミレンジャーの出番です。

夏の風物詩っていうやつですよ。

自らが風物詩になる所存です。

今年もセミにちょっかいを出しに行きます。

たとえセミが拒絶しようとも、

我々は押し掛けます。

それがセミレンジャーなのです。

2018/7/14(土)の夜。

夏だし3連休だしということで

テンション高めの私と助手は、

身軽な格好に着替え、

蒸し暑い夜の公園に繰り出すのです。

ちなみに、今年3月に引っ越しをしたので、

セミレンジャーの活動場所である

公園も変わります。

そして、家から公園も大分近くなり、

徒歩20分くらいで行けるようになりました。

楽ちん。

この季節になると、

道端でゴキと遭遇することが

しばしばあるわけですが、

公園までの道中、

全く遭遇しませんでした。

引っ越す前はしょっちゅう見かけていて、

こっちにはゴキが全然居ないんだなあ、

なんて思っていたら、

自販機の前で普通に遭遇しました。

まあ、いますよね。

あっという間に

公園に到着しました。

いやぁ、セミが鳴いてます。

これは期待大です。

と思っていたんですが、

照明が足りないのか、

中々暗い。

こう暗くちゃあ、

幼虫なんて見えないんじゃないか、と

一抹の不安がよぎります。

公園の内部まで入ってみると、

そこそこ明るくて安心。

照明近くの木で、

まさに羽化中の個体を発見!

201807_semiranger01.jpg

おおー、キレイー。

これは幸先良いですなぁ。

先程からずっとトイレに行きたかったので、

公園内のトイレへ向かいます。

トイレは真っ暗ですが、

そこは、きっと人が来れば

明かりが点くんでしょう。

と、期待を込めて入ってみたら、

ちゃんと明かりが点きました。

ほっとしたのもつかの間。

トイレの床でひっくり返って

足をばたつかせている虫がいるではありませんか。

ゴキか!?

とファイティングポーズを取った私ですが、

セミでした。

まあ、腹側から見る分にはゴキもセミ

大して変わらないんですけどね。

とりあえず指に掴まらせて救助してみます。

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なんか、このセミ小さくないですか?

普段見るセミって、もうひと回り大きいイメージです。

こんなサイズだから、

一瞬ゴキと見間違えたんですきっと。

恥ずかしながら、

私、こんなサイズのセミ

初めて見たかも知れません。

調べてみると、

これがニイニイゼミなんですね。

名前は聞いたことがあります。

お噂はかねがね。

とりあえず、近くの木に避難させてみます。

201807_semiranger03.jpg

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先程、羽化中の幼虫が居た

木に避難させてみました。

そして、この木、

よくよく見ると

ニイニイゼミだらけでした。

ぱっと見ただけで5匹くらいはいましたね。

体は小さくても、鳴き声はパワフル。

耳がやられそうです。

さて、こうしてはいられません。

幼虫を救助しに来たのです。

公園内の舗道に沿って一周してみることにしました。

この舗道がまた暗いのなんのって。

しかし、そこはセミレンジャー。

暗くても幼虫を見つける

眼力を持っています。

早速一匹確保しました。

ひっくり返っちゃってて、

生きてるのかどうかも分かりませんでしたが、

拾い上げて見ると、

201807_semiranger05.jpg

もう背中が割れて羽化が始まってる様子。

そしてまだ生きている模様。

これは、羽化中にどこかから

落ちちゃったのかも知れません。

本体が背中側に出かけちゃってるので、

幼虫の前足には中身が入ってなくて、

もはや自ら足を動かしたり、

捕まるということができないんですよね。

これはどうしたものかと思案していると

助手「なるべく水平っぽい、細めの木の枝に

   ひっかけてみてはどうかしらん?」

とナイス提案をいただきました。

近場にあったアキニレの木。

201807_semiranger06.jpg

その枝の先端部分に上手いことひっかかりました。

201807_semiranger07.jpg

無事に羽化できるか心配ですが、

我々にできるのはここまでです。

あとはコイツの生きる力次第。

一周したらまた様子を見に来ることにします。

次の要救助セミを探しに、

再び舗道を往きます。

途中、ふと木を見ると、

表面がやたらテラテラしてました。

よくよく見てみると

201807_semiranger08.jpg

樹液にカナブン的な虫が群がっていました。

こういうのを見るだけでも、

少し童心に帰った気がしてテンション上がります。

夏はもうテンション上がりっぱなしですよ私。

道の途中途中で、幼虫の姿があるのですが、

皆、既に潰れていてこと切れていました。

おお、おいたわしや。

7年のニート生活の末がこれとは。

テンション下がる。

アリに集られている死骸も。

(一応閲覧注意)

201807_semiranger09.jpg

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しかしまあ、せめてアリの養分にでもなった方が、

自然の中に還れるというものです。

それにしても、実は先程から

気になっていることがあります。

なんか、虫を採ってるっぽい人が

ちょこちょこ居るんです。

捕虫網や懐中電灯を手に、

木を照らしたり、地面を照らしたり、

気合の入った人はヘッドライトまで装備してます。

むむぅ?

一体彼等は何者なんでしょうか。

こんな夜の公園でなんて怪しい奴らでしょう。

しかしヘッドライトは、

あったら便利そうだなあ。

でも、ちょっと八つ墓村っぽいなあ、

なんてことを考えていたら

向こうからとある一団がやって来るではありませんか。

追い剥ぎか!? 世紀末か!?

と身構える私ですが、

その一団はどうやらご家族の様子。

ご両親とお子さん数人で、家族総出で

公園にいらしたようです。

こやつらは、まさかセミを捕らえに来たのか?

事と次第によっては一戦交えることになるかも知れません。

セミレンジャーとして、通すべき筋というものがあります。

こういう時のために、日々筋トレを重ねているのです。

覚悟を決めている私に、

その家族の長と見られる人物が話しかけてきました。

長「すみません。地元の人ですか?」

一見普通の質問から入って、

こちらを油断させようという肚です。

侮れません。

私「まあ、地元というかなんというか」

長「この先に野球場がありますか?」

私「ああ、ありますね。

  ただ、そこは夜は閉まってて入れないかも知れません」

長「ああ、そんな感じなんですか。

  分かりました。とりあえず行ってみます。

  ありがとうございました」

結局彼等が何者だったのか

分かりませんでしたが、

当面の危機は去りました。

引き続きセミレンジャー活動に勤しみます。

公園の端まで来たところで、

地面でひっくり返っているアブラゼミを発見。

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近場の木に避難させます。

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2匹写ってますが、右側が救助されたセミ

夜の良い時間に、

私のような大男が、

木を愛でるかのように何事かしてるもんですから、

通りすがりのおじさんが、

それはそれは訝しげな顔で見てくるわけですが、

そんなことは気にしてはいられないのです。

でも、110番されない程度には

気にした方が良さそうです。

さらに舗道を往きます。

あちこちに、潰れたセミの幼虫達が

点在しています。

潰れたセミの幼虫を、ゴキが貪ってるという

地獄絵図もありました。

ほぼ一周して、先程の場所まで戻ってきました。

戻ってきたところで、

地面を歩いている幼虫を発見!

確保!

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緑の針金が巻かれた木に避難させました。

アキニレの枝に枝に引っ掛けたあいつは

どうなっただろう?

見に行ってみると、

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先程よりは背中が出てきていて、

ちゃんと羽化が進行しているように見えます。

201807_semiranger15.jpg

このまま行けばちゃんと成虫になれるかも!

明日の朝にまた見に来よう。

なんてことをしていると、

先程のご家族とまた遭遇。

長「先程はありがとうございました」

私「いえいえ。野球場まで行けましたか?」

長「ええ、でも人だらけでしたw」

私「あ、そうなんですか」

長「でもまあ、1匹ずつは確保できたので」

私「何を採りに来たんですか?」

長「カブトムシです」

なんと彼らはカブトレンジャーの一座だったのです。

天然のカブトを保護し、

家で観察し、

何なら産卵させて翌年の

カブトまでゲットしてしまうという業の深い方々です。

捕まえたカブトを、どっかで高く売りつけるような

真似はしてないことを祈ります。

まあ、お子さん連れで来てるんで

大丈夫でしょう。

っていうか、野良カブトムシが居るんですねこの公園。

それにびっくりしたわ。

そして、先程緑の針金の木に避難させた幼虫の

様子を見に行ってみました。

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あれ、居ない!

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と思ったら、少し登ったところに移動してました。

201807_semiranger18.jpg

アップ。

登れる力があるなら一安心です。

とりあえずできる活動は終えたので、

そろそろ退散することにします。

今日、最初に見つけた羽化中の個体の様子も

再度観察。

201807_semiranger19.jpg

最初見た時より、大分色づき始めています。

セミが色づくときめきを誰に告げましょう。

公園から出る際、出入り口付近で、

さらにもう一匹発見。

救助。

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近くの松っぽい木に退避させておきます。

公園から出てすぐのところで、

なんと縁石で脱皮している剛の者を発見。

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こんな高さも稼げないところで

よく頑張ったものです。

真の強者は場所を選ばないのですね。

というわけで、活動終了。

帰宅して就寝。

翌朝、貴重な3連休の中日に、

セミのために早起きをするわけです。

まあ三文の得なので良いのです。

朝10時頃に家を出て

再び公園に向かいます。

まずは、昨日最後に救助したヤツがどうなったか。

公園の出入り口付近の松っぽい木に避難させたヤツです。

どうやら無事に羽化できたようです。

201807_semiranger22.jpg

我々が避難させた場所からすぐ近くのところに

抜け殻を発見。

きっとコヤツは今、

元気にその辺を飛び回っているはずです。

良かった良かった。

と、感慨に耽る時間はありません。

気になるアイツの様子を見に行かなければ。

アキニレの木に引っ掛けたアイツです。

早速現場に足を向けてみると

!!!!!!

エマージェンシー!

エマージェンシー!

201807_semiranger23.jpg

遠目から見ても、異常事態であることが

一発で分かります。

昨日我々がヤツを引っ掛けた

まさにそのアキニレの木の周辺が

立入禁止になっており、

おっさんが何やら作業中ではないですか!

おっさんは、エンジンが唸りをあげる

機械を振り回し、

植物という植物に攻撃を加えているご様子。

正気の沙汰とは思えません。

一体植物になんの恨みがあるというのでしょう。

業者が公園の手入れをしにきているだけでしょうって、

皆さんは言うのでしょう。

分かってますよそんなことくらい!

し、下草を刈ってるだけだよね?

と心を落ち着けながら近づくも、

嫌な予感は拭えません。

立入禁止のバーを飛び越えて入っていきたいくらいの

心境なんですが、大人なのでそういうことはしません。

作業中のおっさんに

「昨夜、そこにセミの幼虫を引っ掛けたんですけど」

なんて言えるわけもなく、

しかも言ったところでどうなるものでもなく、

我々にできることは、

少し遠目から状況を観察することだけです。

観察した結果、そのアキニレの木は

あちこちバッサリいかれており、

アイツを引っ掛けた枝は見事に無くなってました。

201807_semiranger24.jpg

この写真の真ん中あたりに、

アイツを引っ掛けた枝がありました。

まあ、アイツが無事に羽化できたなら、

昨夜の内に飛び立っているはずなので、

このおっさんがアイツの生死に

影響を与えた可能性は限りなく低いです。

ただ……結果を知りたかった!

っていうか、翌朝に枝切られちゃうなんて、

そんなことあるかね。

過ぎたことはどうにもならないので、

ヤツもきっと無事に羽化したんだと信じて、

次に行きます。

緑の針金の木に引っ掛けた幼虫の様子を見に行きます。

が、どこにも抜け殻が見つからず。

昨夜よりも、すごく上まで登って

羽化したんだと信じたいところですが、

うーむ、どうなんでしょう。

目視できる範囲には本当に抜け殻がありませんでした。

ふと、足元に視線を落とすと、

201807_semiranger25.jpg

地面にはセミの羽が散らばっているという不吉さ。

いや、これはアイツとは関係ない羽だ。

きっとセミの羽ですらない。

そうに違いない。

ちなみになんですが、

ネットで調べたところ、

ニイニイゼミの幼虫は

独特の色をしていてすぐ分かるそうです。

湿度の高い泥の中から出てくるので、

泥まみれなんですって。

そんな幼虫見たことないわ、と思っていたら

抜け殻ありました。

201807_semiranger27.jpg

どうですか。

201807_semiranger28.jpg

きっとこれがニイニイゼミの抜け殻です。

確かに、泥が乾いたような質感ですね。

私は、こんな抜け殻を見たのはこれが初めてだと思います。

もしかしたら、今まではセミの抜け殻とすら

認識してなかったのかも知れません。

というわけで、

今回のレンジャー活動の記録はこれにて終了です。

とりあえず1匹は救えました。

去年よりはマシな結果と言えるでしょう。

今後も精進します。

東京をセミで埋め尽くすその日まで。