よれよれ将軍のよれよれ日記

日常のことをよれよれと書く日記です。

いい加減弾くか

私は趣味でヴァイオリンを弾きます。

いや、弾いていましたと

言うべきでしょうか。

その昔、私がまだ働いていた頃は

それはもう毎日弾いてました。

仕事をしていた時は

「1日が仕事と睡眠だけで終わったら負け」

というポリシーの下、

毎朝6時に起きて

1~2時間ヴァイオリンを

弾いてから会社に行くという

日々を過ごして、

毎日を無理矢理勝利で飾っていました。

実家に居た頃はまだしも、

マンション住まいになってからは

そんな朝っぱらから

ヴァイオリン弾いて大丈夫なのかと

びくびくしてましたが、

とりあえず苦情が来ないので

苦情が来るまでは大丈夫という

判断で弾いていたものです。

ヴァイオリンというのは、

趣味で弾かれる楽器の中では

比較的レアなものだと思います。

趣味でヴァイオリンを弾くというと

少し珍しがられます。

しかし、それ以上に

タランチュラを飼っていることの方が

珍しがられましたけどね。

私がヴァイオリンを始めたのは

2005年2月。

20代半ばを迎えたおっさん

ヴァイオリンに挑戦です。

よく

「ヴァイオリンは小さい頃に

 始めておかないと駄目。」

等と言われますが、

プロを目指すわけでも

無いので別に良いんです。

そもそも何故ヴァイオリンを始めたのか、

その理由は自分でもよく覚えていません。

しかし、ヴァイオリンにハマった理由は

覚えています。

今日はその辺の昔話を

しようと思います。

っつっても3年前ですが。

12/5(金)の日記に登場した、

アシダカグモの振りをしたコモリグモを

捕獲してきた友人がヴァイオリンを持っていて、

「今は弾いてないから、

 弾きたいなら貸してやる。」

と言われ、軽い気持ちで借りたのが始まりです。

こんなもん独学で

弾けるようになってやるぜとか

思っていましたが

とんでもないことでした。

独学で弾くには

あまりにハードルが高かったです。

ヴァイオリンの難易度の前に

即座に跪いた私は、

教室に通い始めました。

その年の8月頃だったと思います。

先生から

「弓の毛を替えた方が良い」

と言われました。

一応軽く説明しますと、

弓ってのはヴァイオリン弾く時に

右手で持つ棒みたいな奴です。

弓には馬の尻尾の毛が張ってあり、

毛で弦を擦って音を出します。

そんなわけで、

私は弓の毛を交換するべく

ヴァイオリン屋さんに行ったんです。

衝撃の出会いがあったのはそこでです。

そのお店はあまり大きなお店ではなく、

弦楽器マニアのおじさんが

個人経営でやってるような

そんなお店でした。

いや、実際はどうか知りませんよ。

お店の中に入ると、

店の主人と常連さんらしき人が

話をしていて、

年代モノのヴァイオリンと弓を

入荷したとかで

常連さんが試奏を始めるところでした。

その試奏が始まった時、

そのヴァイオリンから、

弓から、指から紡ぎ出される音に

私は衝撃を受けました。

それは、私が今までに

聞いたことの無い美しい音色でした。

大仰な言い方ですが、

「こんなに美しい音が

 この世にあったのか」と

素直に感動したのを覚えています。

連日の仕事ばかりで

忙しいながらも退屈な毎日を

送っていた私にとって、

それはそれは久しぶりに味わう

大きな感動でした。

これは全く個人的な意見で、

反論は大いにあるだろうことを

承知の上で言いますが、

ヴァイオリンは他の楽器に比べて、

その音が持つ力が圧倒的なんです。

私はピアノやギターも弾くのですが、

例えばピアノやギターでドの音を

ポーンと鳴らしても、何てことはありません。

曲を弾いてこそ、

多少心に響くものがあります。

しかし、ヴァイオリンはただドの音を

鳴らしただけで心に響くんです。

曲を弾かずとも、

音そのものに人を感動させる力が有ります。

一音に込められる感情の量が違います。

「そんなオーバーな(笑)」と思われると

思いますが、少なくとも当時の私は

上述のように感じました。

そして、

「一音だけでも感動できるこの楽器で、

 ちゃんと曲を弾けたら素晴らしいだろうな。」

と思い、プロに任せておけば良いのに

自分でも多少の感動を

生み出したくなりました。

これは感受性の差であったり、

好みの差に拠るところも大きいと思います。

繰り返しますが飽くまで私の考えです。

こうして私はヴァイオリンの虜になり、

借り物ではなく

自分の楽器が欲しいと

思うようになりました。

そしてその年の12月3日(土)、

おおっぴらに人に言えないような

金額のヴァイオリンを

購入してしまいました。

それからは

冒頭で書いた通り、

毎朝6時に起きて

会社に行く前に練習をしました。

マジでしんどくて

起きられない日や、

起きてもまた寝てしまった日なども

年に20日くらい有った気がしますが

極力毎日弾きました。

会社で仕事中に寝るようになるという

副作用が出ましたが、

それは些末な問題です。

2006年の賞与日。

賞与明細の入った封筒を、

社長が社員一人一人に手渡すという

イベントが発生し、

みんなが社長から

「ご苦労様でした。」

「これからも頑張ってください。」

とか言われてる中、

私だけ

「会社で寝ないでください。」

と言われたのも良い想い出です。

いや、どうかな。

とまあ、仕事してる間は

ムキになって毎日弾いてたんですが、

今年8月に私はめでたく退職。

一応言っておきますが、

寝てばかりいてクビに

なったんじゃありませんよ。

惜しまれつつも、私から辞めたんです。

いやあ、惜しまれた惜しまれた。

退職記念(?)に、社長から

白いスリッパをプレゼントされたくらいです。

どういうチョイスだよそれは。

退職する社員に

白いスリッパ送るかね普通。

ちなみに、私より少し前に

辞めた男は、男性用スキンケア用品を

貰ってました。

どんなセンスなんでしょうね。

白いスリッパがあまりに面白かったので、

他の社員に見せて回ったところ

大抵のところで大爆笑を頂きました。

「スリッパが白いのは、

 ここに寄せ書きをしてもらえって

 ことじゃない?」

という指摘をされましたが、

そんな深遠な意図があったとは!

もちろん実行はしてません。

話が大きく逸れましたが、

仕事を辞めてからというもの

あまりヴァイオリンを弾かなくなって

しまいました。

習慣というのは恐ろしいもので、

毎日仕事に行く前に

弾いていたせいで、

仕事に行かなくなったら

いつ弾いたら良いのか

分からなくなってしまったというか、

別にいつ弾いたって良いのに

弾き始めるきっかけを失ってしまった

というのが一つ。

もう一つは、

とにかく時間があるので

「ヴァイオリンはいつでも弾ける」

等と思いながら、

ゲーム、サイクリング、筋トレ、

読書、友達との遊び

に現を抜かして、

結局ヴァイオリンを弾かないまま

日々が過ぎて行ってしまった

という間抜けな話です。

確か、今年の9月初頭くらいから

弾いてません。

もう3ヶ月以上経過してます。

しかし!

こんなことではいかん、と

心を入れ替えて

今日からまた練習を再開します。

そして久々に引っ張り出した

楽器がこれ。

ヴァイオリン1

もう一枚。

ヴァイオリン2

撮る角度によって

色合いが全然違って見えますが

2枚とも同じ楽器です。

1903年プラハで作られたものです。

100年以上前に、

チェコのおっさんが作った楽器が

私の家にあるっていうのは

何だかちょっと不思議な感じですね。

3ヶ月ぶりに弾いたら、

自分でびびってしまうくらい

下手になってました。

これはやばい。

ピアノなんかは、

「1日練習をサボると

 1週間前の実力まで戻る」

等と言われていますが、

その論理で行くと

私の腕前は21ヶ月分以上

退化してることになります。

そんなバカな。

というわけで、

今後はちょくちょく

ヴァイオリンの話題も

書いていこうと思います。